日本の食材１「栃木の苺」｜サクッと読める短編読み物

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栃木の苺

コロナが明けて自由に行動できるようになってから、久しぶりに栃木に行った。

涼しい山間をドライブしていると、いつもと同じはずの風が全くの別物に思えるくらいに心地良かった。

帰り道で、ふと「栃木の苺」という文字が目に留まった。

ピンク色のキッチンカーからは甘い香りがしていて、昔、学生時代に原宿で食べたようなクレープが焼かれていた。

苺のクレープなど、もう何十年も食べていない。

いや、それどころか、甘いものが好きではない私はいつもサラダクレープを食べていて、そもそも生クリームたっぷりの甘いクレープ自体を食べたことがないような気がする。

思わず列に並び、少し気恥ずかしいような気持ちを抑えて、「『栃木の苺のクレープ』を１つ」と言ってみた。

生クリームも甘すぎず、苺のさっぱりとした甘味と絶妙に調和が取れていた。

食べたこともないはずなのに、なんだかとても懐かしい味がした。

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